「お疲れさん!荒れる時は、もっと酷いからねぇ。このくらいなら、明日は凪って可能性も無くは無いよ。ゆっくり休んでください。」女将さんの言葉に望みを託し、ダックリと宿に入る一同。風呂&夕飯後の”軽飲ミーティング”では、予定通り4時に宿を出て準備をするが、海況次第で”島帰りAttack!”は中止とする事。代替案として、大島沿岸ツーリング・早帰りでの三浦沿岸ツーリングを行なう事。安全第一で、最悪は漕がずに帰る事。等を確認し、早々に寝床に入った。
明けて翌早朝。荷物を担ぎ宿を出ると、白んだ空を仰ぎ溜息をつく皆様。明らかに風が落ちていない。いや、むしろ強くなっている様にも感じるのだ。沈む気持ちを引っ張り上げ、港へ。船長の判断もAttack中止が妥当との事。しかし、沖に出なければ、風裏になるので沿岸Tourは可能のようだった。一同、気持ちを切替えて、大島沿岸ツーリングへ漕ぎ出した。『無理せず、行ける処まで行こう!』を合言葉に、まずは岡田港を出て南下する。透明度抜群の海は最高の気分だ。ところが万根岬を過ぎた辺りから、島の地形によって所々に、やや強めのDownBlowが発生していた。南下をする分には追い風となりイイ調子なのだが、帰路は確実にシケインとなるので、潮吹崎先のワンドで休憩をし、引き返す事に。案の定、帰路は数箇所の向い風エリアが待っていたが、早目のリターンで、皆、余力を残しつつ漕ぎきった様子だった。『ならば!その余力を使って、もう一漕ぎ!』そんな雰囲気の中、岡田港を通過して北上、風早崎まで漕いでみたが、乳が崎を回ってくる風は、予想以上に強く、到達後早々の撤収となった。
気持ちを切り替え、大島東側を南下したのだったが…。
処により追い風が強く、帰路を考慮し、そこそこで戻った。
『…ならば!』と向った風早崎では、更なる強風を頂戴した。
『快適なクルーズ』
舟や荷物を積み込み、一路、久里浜を目指し出港する。当然の如く、昨日の”相模灘コースター”が蘇る。しかし、女将さんが言うには、帰路は追い波のため快適だとか。終始デッキ・テラスに居てももOK!の許可さえ出た。そこまで言うのなら、ここはヤルしかないでしょう!皆、挙って操舵室の後ろに設けられたデッキ・テラスに陣取った。
ユックリと名残惜しげに岡田港を出ると、一気に加速する。どんどん大島が小さくなる。反して、船の周りにウサギが飛び始め、更には走り始める。予報では波高2mとの事だったが、よく見れば2m以上の波海原だった。台風余波のウネリと、太平洋高気圧の縁を回りこんできた南西風の風波が、微妙に交差して複雑な増波を作り出していた。また、結構なスピードで飛ばしているのに、デッキの上は、ほぼ無風という事からも、追い風がいかに強いかが伺われた。
来る際とは打って変った、快適クルーズに大満足♪
『ビアマレ!』
快適な追い波クルーズを堪能していると、大きな帆を張ったクルーザーや風見鶏の様な釣り船が目立ち始めた。あまりの快適さに『へ?もう城ヶ島?』って感じで到着してしまった。しかし、周辺の海況は、これまた思わしくなく、最後の望みであった”早帰りでの三浦沿岸ツーリング”も断念せざるを得なかった。しかし、それでも一同は、皆、満足げな表情をたたえており、当初の目的が達成できなかった今回の遠征ではあったが、大団円を迎える事ができたと実感した。
最後に、今回、御世話になった船は、ビアマレ号と言って、普段は久里浜を拠点にダイビング・ツアーを行なっている船と言う事だった。女将さんも船長も、まさしく”海のプロ”といった雰囲気でありながら、気さくな方々で、実に愉しく2日間を過ごす事ができた。帰りがけに、誰かが聞いていた。「ビアマレって何の事?」「フランス語で言う、ボン・ボヤージだよ。」なるほど…。では、今回御世話になった皆様に、ビアマレ!
…って、ビアマレは何語か、控えはぐった。無念!(笑)
皆様、ありがとうございました。また、何処かで宜しくお願い致します。